三菱UFJ信託銀行 (MUTB) NY支店:ボトムアップ型アプローチによる業務自動化とRPA推進|Microsoft Power Automate Desktop導入事例

1. 事例概要Summary

導入したサービス
Microsoft Power Automate Desktop
クライアントの業種
金融業
ロケーション
米国ニューヨーク市

2. 導入背景Introduction Background

三菱UFJ信託銀行(以下、MUTB)は、三菱UFJフィナンシャル・グループに属する日本の大手信託銀行です。MUTBニューヨーク支店では、新規事業の拡大とともに従来のシステムでは対応できない業務が急増し、マニュアル作業で対応していたものの現場は限界に達していました。一方で、IT部門も多数のプロジェクトを抱え、新規システム開発要員は不足。増え続ける小規模かつ多様な業務はIT部門による問題解決に適しておらず、悩みの種でした。

そこでMUTBでは、ユーザー主導によるローコード・低コストのRPA活用など、自主的な新しい作業自動化ソリューションを模索し、最終的にPower Automate Desktopを選定し導入を決定しました。

クライアントの声

若本さん
Executive Vice President
若本 茂大さん

業務拡大に伴い、日常的に発生する手作業プロセスが負担となっていたため、3か月ほどかけて、自社で30社以上の金融機関を対象に業界調査を実施し、ローコード/ノーコード技術が業務効率化のトレンドであることを把握しました。当初は別のツールの導入を検討、調査していましたが、SYSCOMの山下さん・伊藤さんから「Power Automate Desktopでも同様の機能が実現可能」との提案を受け、GartnerのマジッククアドラントでMicrosoftが急成長している事実も知り、POCを実施することを決定しました。

社内でPower Automate Desktopの自主的な学習セッションを小規模に始めたところ、2か月で年間約1,000時間の削減に成功しました。その結果を社内で発表すると、技術者だけでなく非技術者からも「どうすれば参加できるのか」という問い合わせが急増。2024年3月にゼネラルマネージャーの判断で公式プロジェクト化して専任チームを設立しました。

3. ツールの選定理由Reasons for Selection

プロジェクトの成功には、現場で扱いやすく、かつ既存のIT資産と親和性の高いツールの選定が不可欠でした。MUTBではすでにMicrosoft 365のライセンスを保有していたことから、ノーコード・ローコードで扱えるPower Automate Desktopが有力な候補となりました。

日常業務では、ExcelやOutlook、外部のWebアプリケーション、さらにはレガシーシステムとの連携が多く、これらを対象とした自動化においてPower Automate Desktopは非常に高い適合性を示しました。特に、ExcelやOutlookとの親和性が高く、既存のアクションを活用することで効率的な開発が可能と分かりました。拡張性や安定性、オープンで深いユーザーコミュニティ、エンドユーザー視点での使いやすさに加え、全てのデスクトップ作業が対象となりうるスコープの広さも魅力的でした。

さらに、Power Automate Desktopは細かな処理が必要な場面ではスクリプトを併用することで柔軟な対応ができる上に、ITに明るくない社員でも扱いやすい直感的なUIを備えていました。このような特徴により、MUTBの悩みであった「少量多品種業務」に現場主導で対応できるという点も高く評価されました。

クライアントの声

高柳さん
支店長
髙柳 健司さん

金融業界は規制が厳しく、セキュリティやガバナンス面で高いハードルが設けられています。Power Automate DesktopはMicrosoft 365をプラットフォームとしているため、セキュリティの観点で論点が整理しやすく助かりました。

ガバナンス面では、VBAマクロの属人化といった過去の課題を踏まえた強固なガバナンス体制を構築できるツールが不可欠でしたが、Power PlatformのCenter of Excellenceを使用した内部管理体制を構築し、オペレーションリスクを抑制できるという点も導入が認められた理由の一つです。これらの取り組みにより、ガバナンスと柔軟性を両立し、属人化リスクを排除した持続可能な自動化推進を実現しました。

4. 導入結果Achievement

180件のフロー作成180件のフロー作成
15,000時間の自動化15,000時間の自動化
市民開発者60名以上市民開発者60名以上


Power Automate Desktopの導入により、ドラッグ&ドロップで視覚的に開発できる環境が整い、より多くの社員が市民開発者として自ら業務の自動化や保守を行えるようになりました。これにより、属人化の解消とともに、現場での継続的な改善活動が可能となりました。

実際に自動化された業務の一例として、以下のようなフローが挙げられます。

  •  ①取引の確認情報をメールや外部Webアプリから抽出

  •  ②社内Blotter(取引記録一覧)への記入

  •  ③トレーディング管理システムへの入力

Power Automate Desktop導入による業務プロセスの変化

MUTBでは1年半で約180件のフローを作成し、約15,000時間の自動化に成功しました。特に「①システムへの入力やデータアップロード・ダウンロードの自動化」「②大量のデータを使用したレポート作成自動化」「③データの整合性チェック」という3つの領域でPower Automate Desktopが効果を発揮しました。

誰かが自動化に成功すると社内で情報が共有され、成功体験に追随する動きが広がっていき一種のモメンタムとなりました。自動化可能な領域はまだまだ残っており、今後も早いペースでの自動化が期待されます。

クライアントの声

Haticeさん
First Vice President
Hatice Pakさん

スタート当初は数名のメンバーでしたが、対面でのハンズオンセッションを重視したことでIT未経験者でもツールを理解し、実際に活用できるようになりました。結果として、25回以上の対面セッションを開催し、ユーザー数は当初の3名から60名以上に増加。特筆すべき点は、コーディング経験のない社員が高度なフローを作成できるレベルまでスキルを伸ばしたことです。

技術に強い社員だけでなく、非エンジニア層も積極的に参加し、社内全体でデジタル化を推進する文化が醸成されました。最初の一歩が重要であり「自分でもできる」という感覚と、仲間のサポートが大事だと実感しました。

また、高度で複雑なフローを作成するためにはプロフェッショナルによるサポートも必要でした。SYSCOMのKevinさんによるサポートは非技術者にも分かりやすく、私たちが複雑なフローを作成する上で大きな助けとなりました。

クライアントの声

若本さん
Executive Vice president
若本 茂大さん

Power Automate Desktopの導入により、業務部門が自ら課題解決に取り組めるようになり、IT部門への依存から脱却が進みました。Center of Excellenceや公式フレームワークの整備によるガバナンス強化を進めつつ、ユーザー側も技術的な知識を習得し、IT部門との共通言語を持つことで心理的距離も縮まりました。

現在では、Fusion Developmentモデルを実現し、ITと業務部門が協働する文化が定着しています。今後は、より高度な技術を持つユーザーがITと連携していくような、持続的なデジタル変革を推進する体制が整ってきたことを嬉しく思っています。

実際既に、ユーザーのITリテラシ―が高まったことに加え、IT側もPower Automate/Power Automate Desktopの機能に関心を持ったことがきっかけで、対話が深まり、支店の古いアプリケーションを廃止し、Microsoft365のプラットフォーム上でITとユーザーが協働しつつ作り替えた事例も生まれました。

5. プロジェクトの評価と今後の展望Evaluation and Future Prospects

本プロジェクトはMUTB日本本店のDX推進部門から自動化の達成のみならず、ガバナンス面での取り組みも含めて評価され、2024年度に事務担当役員賞を受賞しました。それもあり「NY支店は自動化を積極的に進めている」という認識が広く社内に浸透し、本店や、MUFGグループのアメリカ各拠点からの問い合わせも増えています。

現在の自動化の中心には「Attended RPA」であるPower Automate Desktopが活用されていますが、このPower Automate Desktopによる自動化の成功体験を通じて、今後はさらに自動化の領域を拡大したいという声が多く上がっています。特に、多くのユーザーが「Unattended RPA」ツールの導入を強く希望する状況となっています。これは、Power Automate Desktopによる現場主導の自動化が定着し、さらなる効率化や省力化を目指す動きが広がっているためです。RPAとAIを組み合わせてさらなる自動化を狙うハイパーオートメーションについても、ガバナンス上の論点を整理したうえでのPOCを進めています。

クライアントの声

Brettさん
Senior Vice President
Brett Russoさん

今回の取り組みの成功は、複数の要素が組み合わさった結果だと思っています。

第一に、経営層からの強力なサポートにより、ユーザーが積極的にツールを活用できる環境が整いました。第二に、SYSCOMエキスパートのサポートによりスタッフの学習速度が加速し、短期間でスキルを習得できました。第三に、ワーキンググループがボトムアップでどんどんユーザーを巻き込み、タウンホールや定期ミーティングを通じて社内全体に浸透させていきました。これらの要因により、ボトムアップの情熱とトップダウンの支援とが融合し、社内で市民開発能力を内製化し、持続的な仕組みが形成されたと考えています。

6. プロジェクトメンバー紹介Member Introduction

シニアアカウントエグゼクティブ:伊藤幸彦
ビジネスソリューションジェネラルマネジャー:山下誠
スーパーバイザー:友寄三奈子
プロジェクトマネージャー / コンサルタント / エンジニア:ケビン岩橋
コンサルタント / エンジニア:
犬塚祐也、ユージーン・ウィルキンソン、シャオラン・ユー

7. SYSCOMへの感想Impressions for SYSCOM

MUTBの皆様

クライアントの声

Power Automate Desktopが当社には適しているのでは?という仮説を含め、さまざまなソリューション・ツールを純粋に評価し、最もユーザーにメリットのある手段を提案していただいたことに感謝しています。また、当面の問題解決だけでなく、当社のユーザーの育成やFusion Developmentに至る道筋とともに、今後のビジョンも提案していただきました。

現場に来ていただいたエンジニアたちのコミュニケーション能力や業務理解力は非常に優れていて、すぐに担当者たちと信頼関係を構築してツール開発を推進していただけました。当社にはITリテラシーがそれほど高くない人間も多く、業務要件をうまく伝えられないケースもありました。そのような担当者が業務を行う領域に存在するユースケースの種を、SYSCOMの皆様のコミュニケーション能力の高さによりうまくアウトプットへと昇華させることができました。今後は、当社の従業員のITスキルのトレーニングやガバナンスの高度化に関する支援や、ハイパーオートメーション領域での協働を期待しております。

8. まとめConclusion

SYSCOMは、お客様の課題解決のために最適なデジタルソリューションを提供する総合ITソリューションプロバイダーです。ソリューションの立案から、コンサルティング、運用サービスまで包括的にサポートします。各分野においてエキスパートが在籍しているため、さまざまな方向からのアプローチが可能です。

また、今回の事例のように、クライアントが不安や不満を抱くことのないよう、エンジニアだけでなくプロジェクトマネージャーや営業担当者などが連携して、きめ細やかなサポートを行えるよう体制を整えています。

Power Automate Desktopをはじめとした自動化のみならず、ERPやCRMの導入、データの収集・解析・予測、新しいアプリケーションの構築など、お客様の多岐にわたるニーズに対応した幅広い提案・サポートを行っています。業務効率化のために、解決したい課題がある方はお気軽にお問い合わせください。

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Power Platform は、専門的なプログラミングスキルがなくてもアプリ開発や業務自動化を実現できる、まさに「市民開発」を推進するためのプラットフォームです。現場の社員自らが業務に合ったアプリを素早く作成することで、業務効率化、IT部門の負荷軽減、そして組織全体のDX推進につながります。

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