医療系製造業:グローバルM&A事例|バイリンガルPM体制で、複雑なIT統合と意思決定を支援

1.カテゴリー

導入サービス:

・ITコンサルティング
・ITインテグレーション
・グローバルPMI支援

業種:

医療系大手グローバル製造企業

背景:

この顧客企業は中期計画に則り、グローバル事業拡大に向けたM&Aを推進していました。ビジネス拡大を目的としたM&Aでは、Day1のIT環境には「理想的に整える」こと以上に、「事業を止めない・早急に事業を立ち上げ、正常化する」ことが強く求められており、かねてから大規模案件をサポートしていたSYSCOMが支援することになりました。

今回はシンプルに会社ごと買収する形式とは異なり、旧事業オーナー企業(日本の大手製造企業)から特定事業のみを切り出すカーブアウト型M&Aであり、新旧オーナーの意向が関わるため複雑でした。また譲渡対象の事業会社が米国に存在するという、意思決定の主体が日米に分散した極めて複雑なプロジェクトでした。Day1(切替日)は固定されており、遅延は即ビジネスに影響するため、ITが問題なく稼働することは事業成立の前提条件として位置づけられていました。

2.導入サービスについて

譲渡された事業会社のビジネスで必要なIT環境のコンサルティング・環境構築、新オーナー企業のIT環境に合わせた移行、今回のIT M&A全体のバイリンガルプロジェクトマネジメントを提供しました。
(IT領域:Network、Storage/FileServer、Identity、Email、Applications、Data、Devices、Security等のオフィスIT環境一式)

■バイリンガル・プロジェクトマネージメント
SYSCOMの顧客企業(事業の新オーナー)、旧オーナー企業(日本)、譲渡対象の事業会社(米国)、顧客や米国事業会社のベンダー群などクロスボーダーな調整が必要となる中で、
・どのIT要素をDay1に必須とするか
・どの要素を後工程に回せるか
等を考慮しながら、営業を止めない・Day1に向けて意思決定を止めないことを最優先に現場密着型でプロジェクトを推進しました。

■IT コンサルティング
単純な移行だけでなく再設計から必要な領域も存在したため、ソリューションに対する意思決定もSYSCOMが支援しました。一例としては、
・ユーザー認証やデバイス管理のセキュリティリスクの観点で、従来の個人管理型(Consumer Apple ID)から企業統制型(Business Apple ID)への移行を提案、設計・実行支援を行い、スケーラビリティと統制強化を同時に実現
・旧オーナー企業から新オーナー企業に譲渡するデータ・しないデータの移行対象の切り分けについて、切り分けの考え方の提示や調整の日米コミュニケーションの支援

3.導入経緯・導入前課題について

特に事業譲渡のPMI (Post Merger Integration)の状況下で生まれる以下のような課題や複雑性が存在しました。

■新事業オーナー(SYSCOMの顧客)と、譲渡対象企業 (合併対象)の2社間でのIT統制モデルの根本的な差異
具体的には組織管理ID(Managed Apple ID)と個人IDの差異があり、両社モデルの混在により、セキュリティポリシー逸脱やサポート負荷増大などのリスクが想定され、単純な移行にとどまらずID管理設計、アプリ配布設計、例外管理(BYODなど)から整理が必要

■意思決定が複数社に分散
米国現地だけでは決定できず日本の旧事業オーナー企業の合意を必要とするなど、コミュニケーションパスが複数社にわたることが、タイトな時間軸の中で常にリスクとして存在

4.導入時の工夫

■日英バイリンガルの多様なITプロフェッショナル体制の構築
本プロジェクトでは、日英バイリンガルかつIT専門性を持つ人材を複数現場に配置することで、翻訳・説明・持ち帰りによるタイムロスを排除しました。また、セキュリティやビジネス観点からの整理・アドバイスをプロジェクトの中で継続的に実施するなど、単なる作業提供ではなく「着実なIT M&Aの推進役」として機能できるよう、技術の専門家やPM、ビジネスやセキュリティのコンサルティング経験者等をバランスよく集めたチームにて支援しました。

■日本品質でのプロジェクトデリバリー
カットオーバー前の入念なテストの他、Day1後のハイパーサポート期間においては課題をリスト化することで解決状況を可視化し関係者に共有するなど、米国にいながら日系顧客に寄り添った品質でのサポートを提供しました。

5.導入成果

本プロジェクトにより、今回のグローバルM&AはITがボトルネックとなることなく、また大きなインシデントもなくDay1を迎え、計画通り事業立ち上げを完遂できる状態が実現されました。

また、組織的かつ安定的にプロジェクトを推進するため、米国法人のIT部門責任者に業務や意思決定が集中しないよう、体制面および論理面の双方から包括的に支援しました。その結果、適切な役割分担のもと、安定したプロジェクト推進体制の構築・維持を実現しました。

6.プロジェクトメンバー紹介

・統括リード1名(英)
・バイリンガルプログラムマネージャー1名(日英)
・バイリンガルプロジェクトマネージャー 2名(日英)
・プロジェクトマネージャー2名(英)
・IT インフラエンジニア3名(英)
・バイリンガルインフラエンジニア4名(日英)

7.SYSCOMを選んだ理由

■米国での大型ITプロジェクトの豊富な実績
本プロジェクトにおいてSYSCOMが選定された背景には、これまでにも当顧客の米国での大型ITプロジェクトを継続的に支援してきた実績がありました。特に現場密着型のプロジェクトを多数支援した実績から、単なるベンダーではなく「実行フェーズを共に担うパートナー」、「ITのガバナンスやセキュリティ設計まで任せられるパートナー」としての信頼が醸成されていたことが大きいと考えています。

■多様で安定したバイリンガルIT人材体制
今回のようなグローバルM&A(特にカーブアウト型PMI)では、日本本社・米国現地・旧オーナー・外部ベンダーといった複数のステークホルダー間で、日英双方による迅速かつ正確なコミュニケーションが求められます。また、米国現地に駐在する日本人担当者には、意思決定や業務の負担が集中しやすい傾向があります。その中で、ITの専門性に加え、英語・日本語双方で業務・意思決定を支援できるPMおよびエンジニアを一定規模でアサイン可能な体制が評価されました。