積水化学工業株式会社:グローバルERP標準化事例

カテゴリー

 

・業種: 製造系

・拠点: 米国・メキシコ

 

導入ソリューション

 

Microsoft Dynamics AX

 

背景

 

現地法人の会計処理を統一し会計のガバナンス強化を図る

 

積水化学工業は、日本の製造業の中でも早期にグローバル化を進めてきた国際的企業のひとつだ。1962年に米国とドイツに拠点を設立し、1963 年には日本の製造業では初の米国進出となる工場を設立するなど、グローバル製造業の先駈けとなった。そして1990 年代以降はグローバル展開を本格化させ、北米、中南米、欧州、アジア、オセアニア、及び中国に拠点エリアを広げるなど、その勢いは現在も拡大している。

同社のグローバル展開において直面したのが、現地法人が活用する基幹システムの問題だった。積水化学工業では、基本的にERPや電子メール、グループウェアなど情報システムを全て自社開発することが慣例となっており、B2Cのビジネスモデルを持つ住宅販売関連部門以外は国内グループ会社の全てが共通の基盤上で業務を行っている。しかし、M&Aで現地法人化した拠点は既にERPが稼働しているため、国内の基幹システムを準用することは見送られてきた。それが結果的に海外拠点でのERP 乱立につながり、全社標準化を妨げる原因となっていた。

「こうした問題を解決するため、海外拠点のERPを標準化・統一し、グローバル経営管理強化に向けた情報収集と情報の見える化を実施しようと考えました」と語るのは、積水化学工業 経営管理部 情報システムグループ 理事の小笹淳二氏だ。M&Aを行っていく中で、現地法人の会計処理を統一して会計のガバナンス強化を図った。

 

導入経緯

 

テンプレートを事前に用意し短期間かつ低コストでシステムを導入

 

既に中国エリアの一部ではERPの標準化が行われており、一定の成功を収めていたことから、今回は建築用・自動車用中間膜事業を担う拠点のうち、メキシコと米国ケンタッキー州にある2 拠点を対象にロールアウトを行った。
その標準ER Pに選ばれたのは「MicrosoftDynamics AX 2012」(以下、Dynamics AX)だった。この選択について小笹氏は、「10 年以上前から活用実績があり、Microsoft 社が注力しているERP であるため、将来にわたって継続的なサポートが期待できると判断しました」と話す。

さらに、Dynamics AXの海外拠点導入とその後の運用を担うパートナーとして、SYSCOMを採用した。その理由は主に2つあるという小笹氏。「1つは、コンサルタントが基幹システムについてしっかりと理解していること。もう1つは、導入後も現地で長期的にサポートをしてくれる組織であったこと。SYSCOMは25 年以上に渡り米国に拠点を構え、社員の7 割は日本人であり、
その全員が当然バイリンガルです。日本企業らしく人を大事にする社風があり、社員の定着性が高い点が大きなポイントでした。導入時よりもその後の運用サポートの方が付き合う期間も長く重要になってくるため、人材の定着率はパートナーを決めるにあたりとても大事な要素と位置付けております」

メキシコと米国へのDynamics AXロールアウトは次のポイントを注意して進めた。

1)グローバルテンプレートおよびリージョナルテンプレートを事前に用意することで短期間かつ低コストでシステムの早期導入を図った。
2)標準業務プロセスとシステムを前提とした手順書を提供し、業務標準化の定着を図った。
3)IFRSで必要な機能開発をベースとすることで包括的なIFRS対応を図った。
4)同じERPを利用させることで海外拠点に対する各種指導とサポート強化を図った。
5)拠点のシステム運用については、SYSCOMが提供するクラウドサービス「clavis」(図参照)を用い、アウトソースさせることで効率化を図った。

更に、小笹氏は、「海外拠点のロールアウトにおける大きな障害要因は時差です」と指摘する。日本と現地では時差があるため、コミュニケーションを取るためにはどちらかが無理に合わせることになる。現地にサポート拠点を置けない場合はインドなどにヘルプデスクを作り、時差を埋めるという方法もあるが、何か問題が発生し、現地へ訪問する必要が生じた場合、インドからの対応では難しい。「その点、SYSCOMは同じ米国内に東海岸と西海岸と両方に拠点があるため、導入作業中に何かあった時でもすぐに来てもらえる頼もしい存在でした」と小笹氏は述べる。

ロールアウトはまず、2015 年10月からメキシコ拠点へのDynamics AX導入が開始され、2016 年1月に稼働が開始された。「メキシコ拠点の際には、稼働後の教育プログラムやルール作りをSYSCOMがしっかりと対応してくれたおかげで、大きなトラブルに発展せず稼働開始ができました」と小笹氏は振り返る。

またメキシコ拠点に続き、2016 年1月から北米拠点のDynamics AX導入プロジェクトも開始された。北米拠点では、メキシコ拠点でのERP 切り替えの経験を基に、フェーズ毎に判定会議を実施し、状況を整理しながら問題の発生原因や対策方法などをフィードバックすることでスムーズな導入をめざした。「短期間で切り替えが完了するよう、SYSCOMが開発した基本的な業務の流れを統一するための『BPF』(業務プロセスフロー)を使って100項目程度のユーザーテスト向けシナリオを作り、それをユーザーに確認させたことで、メキシコ拠点の稼働からわずか3ヶ月後の2016 年4月に北米拠点も予定通り稼働開始することができました。SYSCOMには1ヶ月半ほど現地でテストケースの監視や支援などをお手伝いいただき大変感謝しています」と小笹氏は評価する。

 

導入成果

 

Dynamics AXで各拠点のデータが可視化され会計上のガバナンスが格段に強化

 

メキシコ拠点と北米拠点のDynamics AX導入の成功はSYSCOMが作ったBPFが重要な鍵になったと小笹氏はいう。「BPFによって業務のやり方が大体見えはじめ、当然その結果としてのデータも見えてきたことで、拠点の業務が遠隔で可視化できるようになりました。その結果、決算などでさまざまな情報を抜き出せるようになったのです」
また、メキシコでは毎月営業報告を行うことが税法上の義務になっており、Dynamics AX が月次バッチでそれを発行することで対応をしたほか、月次決算も締め後3営業日以内にレポートを日本へ送らせることが可能になった。

従来は、日本と現地との間で連結決算上の違算が発生した場合は、その都度、現地の拠点に問い合わせしなければならず、時差の影響もあり、非常に非効率的で時間がかかっていた。Dynamics AXへの切り替え後は、各拠点のデータが可視化されるようになり、会計上の齟齬や漏れがチェックしやすくなったため、ガバナンスが格段に強化された。

クライアント情報

 

積水化学工業株式会社

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1947 年創業。社是「3S 精神(Service、Speed、Superiority)」の精神を貫き、その70年の歴史の中で培った先進の樹脂加工および住宅分野の技術と品質で「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献してきた。現在は、「住宅カンパニー」、「環境・ライフラインカンパニー」、「高機能プラスチックスカンパニー」を事業の柱に絶え間なくイノベーションの創出に取り組んでいる。